**番外編**

俺は尾崎裕二。

一目ぼれした千紗が、事故をきっかけに大羽を選んだことに気づいた。

今日は大羽が退院する日だ。

俺はけじめをつけるために千沙を呼んだ。

千沙の口からはゴメンという言葉が出てきた。

やっぱり・・・

俺は千沙のことを思って、大羽に気持ちを伝えるよう言った。

それと同時に俺の恋も叶わぬまま終わった。

千紗が大羽のところへ行った。

病院の中の公園で、千紗が大羽に告るのを待っていると、一人の女の子がま

つば杖をつきながら歩いていた。

まだ慣れていないようで、かなり不安定だった。

じっと見ていると、案の定転んでしまった。

「大丈夫?」手を差し出して彼女を起こした。

「あ・・・ありがとうございます。」彼女はか細い声で一言そういった。

俺はベンチに座って休まないかと聞いた。

「ねぇ、君名前なんてゆうの?」そう聞いた。

彼女はちょっと下を向いて何も言わなかった。

「あ、ナンパじゃないよ!!ただ純粋に話したいだけ!!」

「そうですか。てっきりからかってるのかと・・・あたしは大河内樹里(おおこ

うちじゅり)です。秋華学院の3年です。」

「俺とタメじゃん。俺は美鳳中の3年、尾崎裕二。よろしくな。つか秋華学院っ

て超お嬢様学校じゃん。」

「あ・・・うん・・・。」彼女はそう言うと少しうつむいた。

「でも・・・いいとこじゃないですよ・・。親とかうるさいし・・・。」

「うわー!それつらいね!てか足どうしたの?」

「これですか・・・ちょっと骨折っちゃって・・・」

「何の事故だったん?」

「・・・」

彼女は何も言わなかった。

何かまずい事を言ってしまったのだろうか。

「俺まずい事聞いた?」

「・・あ、いいえ・・・片想いしてた人にふられて・・・それでちょっと生きるのが

嫌になって・・・それで道路に・・・」

彼女は少し涙ぐんだ。

「そっか・・・つらかったよな・・・俺もさっきふられたばっかで気持ち分かるよ。」

彼女は驚いたようだった。

「そうなんですか?尾崎さんカッコいいし優しいのに・・・」

そう言うと、見る見るうちに顔を赤くした。

「嬉しいな。俺も樹里みたいな人好きだよ。」

「ほんとですか?」

嬉しそうにそう言う彼女の笑顔に胸がキュンとした。

「うっわどうしよ・・・」顔が赤くなる。

「どうしたんですか?」

「いきなりで悪いんだけどさぁ・・・俺樹里の事好きになっちまったかもしんな

い・・・」

彼女もそうとうはずかしかったようだ。

「あの・・私なんて言っていいのか・・・」

「ううん・・・いいんだ・・・会ってまだほんの少ししかたってないのに俺・・・」

「・・でもっ!私は恋愛に時間は関係ないと思います・・・私も尾崎さん見て・・あ

の・・・恥ずかしいんですけど・・・一目ぼれしちゃったみたいで・・・でも・・・まだ

私彼のこと引きずってるし・・」

「俺全然大丈夫!!絶対俺に振り向かせる自信あるし!!」

彼女は照れながら「・・はい・・・わたしも尾崎さんの事・・・」

「苗字で呼ぶのやめるっ!!」そう言った。

「は・・はい・・わたしも裕二さんの事が・・・好きです・・・」

「おう!仲良くしよーなっ!!」

「はいっ!」

彼女が春風に舞う髪の毛を耳にかける姿はとても美しかった。

これから毎日が楽しみになりそうだ。 **終わり**







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